~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 ジェミーがこそこそと頼み込むと、ルゼはハァと不満そうに息を漏らしながらも、ケーキナイフの柄を一緒に握ってくれる。
 彼の力を借りて、少し熱された刃がクリームの表面を溶かしてスーッと綺麗に入り込んでいく。ジェミーたちはそれを丁寧に何度もこなすと、切り分けられたケーキを参加者に配っていった。

「上手にできたじゃない」「うむ、さすが我が娘」

 そんななんでもないことで満足してくれる両親や、喜んでくれてた参列者の姿を見ると、ジェミーは手伝ってくれたルゼにもケーキを渡し、小さくお礼を言った。

「ありがとね」
「別に。意外と君はたくさんの人に好かれているんだな」

 そんな響きに少し羨ましさのようなものを滲ませ、彼はそっけなくそれを受け取って隅の方でつつき始めた。
 多少は楽しんでくれたならいいのだが――そう思いながらジェミーは改めて広間に集まってくれた皆を眺めた。

 なんだか、童心に帰ったような気持ちだ。ここには、家族も友達もジェミーを支えてくれる人たちもたくさんいる。そのことがとても嬉しい。それをきちんと言葉に表したくなり、この場の皆に向かってジェミーは最大限の感謝を口にした。
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