～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「ごめんね。でもこうでもしないと、私、自由に外も出歩けないの。あげくにクラフト殿下と結婚させられちゃったら、家も家族もどうなっちゃうことやら」

　屋敷の厨房を仕切る料理長のジムと口裏を合わせ、暇だからパン作りで遊んでいたら、小麦粉を引っかぶったということにしてあるから、ミリィのフォローを受ければなんとかバレずに部屋まで戻れるだろう。
　その旨伝えると、彼女も自信を覗かせ頷いた。

「ええ、話は聞いてます。風邪でも引いたふりをしてせいぜい引き篭もってますから、うまいことやって、ぜひあのいけすかない王子様に一泡吹かせてやってください！」

　シェリンも、父の借金を楯になりすましを迫ってきたクラフトにいい感情を抱いていないみたいだ。

「ええ、任しといて！」
「御嬢様、じゃあこの袋ごと不良品だっつうってことで運び出しやすんで、ご不自由をおかけしやすが、こちらをすっぽり被っちまってくだせえ」
「迷惑をかけるわね。じゃあシェリン、後はよろしく！」