この声が続く限り
*出会い*
もみじやイチョウの葉がヒラヒラと舞うころ、私と、翔は出会った。

このイチョウの木の下で。


家の近くにイチョウの木がある古びた公園がある。
遊びになんて誰も来ないココが私の大好きな場所だ。

いつもココで歌っている。
  
  ユカ
上野癒歌 青葉学園1年生16歳
一応歌手です。売れない・・・
でも恥ずかしすぎて、身内以外誰にも言ってません。

学校の帰り、いつものようにこの場所へ歌いにくると、スラッと背が高く整った顔で、同い年くらいの男の子がいた。


私は思わず見とれてしまった。

「何?」
すると、男の子がにらんできた。
「えっ・・・。いや、何でもない・・・です。」

早くどっかいってよぉ~!!
私が思いっきり歌えないじゃん!!

そう思っていると、男の子はスタスタと歩き出しどこかへ行った。

「よかったぁ~」
安心して、思いっきり歌う。大好きな曲ばかりを。

「ふ~ん、いっつもココで歌ってたのあんただったんだ?」
「えっ?」

にやにやと笑う彼。

うそぉ・・・恥ずかしいよぉ~。
ていうかいつも聴かれてたなんて・・・

「かなり上手いじゃん。歌手?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「えっ・・・、マジで歌手なの??」
「ちがう!!」

そんな会話をして私は走って逃げた。


コレが翔と私の出会い。






  




< 1 / 32 >

この作品をシェア

pagetop