この声が続く限り
毎日、毎日歌いにきた。

でも、毎日、毎日彼がいた。

今日も行くと、いつものように彼が待っていた。

「ねぇ、もう1回歌ってよ。俺、あんたの歌聴くの嫌いじゃないんだよね。」


     「嫌いじゃない」

ぶっきらぼうな翔の精一杯の褒め言葉。
歌えるわけないじゃん。
そんなにじっと見つめられて・・・

「イヤ。」

「何で~!?あ、ていうか学校どこ??」

「何でそんなこと聞くの・・・。」

「いいじゃん!!教えて~」

「・・・。青葉学園。」

「えっ!!?ウソ!?一緒じゃん!!」

「えっ・・・。そうなの~!?」

「あ~・・・。俺ら10クラスもあるもんなぁ~。」

「えっ、あんたは何組?」

「俺??俺は、1組。お前は?」

「私は10組・・・。」

「えっ~!!超離れてんじゃん!!」

私は、心の中でほっとする。

「ねぇ!!ていうかお前名前は??」

「癒歌・・・。」

「癒歌ね!!俺は、翔!!」

癒歌

私は、今まで歌しか好きじゃなかった。
友達はいたけど、男子と話すことなんてなかったから下の名前でよばれたことなんてなかった。
ビックリした反面、何だか心がほっと温かくなって嬉しかった。




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