すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~

けれど、もう美咲を悲しませたくない。ただ笑顔でいてほしい。自分の持てるすべてで幸せにしたい。

そんな風に思える相手は、彼女以外にいない。

(諦めろという方が無理だ)

別れてからも美咲を忘れたことはない。女性からの数々の誘いもすべて断ってきた。禁欲的に過ごしてきた大翔を知った篤志は、いつだったか『美咲もバカだな。こんないい男を逃すなんて』と呆れたように笑っていた。

だからだろうか。今回の同居についてアシストしてくれたのは。

(恋人ができたというのは、十中八九嘘だろうな)

両親を亡くしたあと、実家を処分したと聞いている。税金や管理の煩雑さなど様々なリスクを思ってのことで、美咲も承知しているという。だからこそ、なにかあった時に彼女が駆け込める場所を、過保護で心配性な篤人がなくすはずがない。

(二度目はない、か。デカい借りができたな)

美咲が付き合っていた当時になにを思っていたのか、ようやく知ることができた。だから同じ轍は踏まないし、篤志に言われるまでもなく二度と美咲を悲しませるつもりはない。

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