すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~
偶然再会して一緒に過ごす中で、大人になった美咲の魅力に改めて惹かれたのだ。どれだけみっともなくても、親友から『必死だな』と笑われようと、美咲を手に入れるためならばなんだってする。なんとしても彼女の気持ちを取り戻したい。
「若いというのはいいですねぇ。無事に福岡の往復を終えたら、一緒にコーヒーを飲みに行きましょうか」
どこへ、とは聞くまでもないだろう。
「キャプテン、面白がってますよね?」
「まさか。各務くんが言ったんでしょう? 僕らから色々学びたいと。MFFの件について、乗務終わりでよければカフェでゆっくりお話しますよ」
長嶋は卓越した操縦技術や、サクラ航空に現在五人しかいないMFFパイロットであるのはもちろん、こうしてコミュニケーションを疎かにしない点で若手のパイロットからの人望を集めている。彼から学びたいことは山のようにあった。
「……お供させていただきます」
「楽しみですね」
大翔がベテランのキャプテンを伴ってカランドへ行ったら、美咲はどんな反応をするだろうか。
まして長嶋が『あなたが各務くんの想い人ですか』なんて店内で言い出した日には、頬を真っ赤に染めてこちらをじろりと睨んでくるに違いない。その表情を想像するだけで愛おしさが胸に積もる。
「さぁ、ではPAをお願いします」
「はい」
大翔はヘッドセットを外すと、気を引き締め直して機内アナウンスをするためにマイクを手に取った。