すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~
そっと顎を持ち上げて唇を塞がれる。優しく触れたところから彼の愛情が流れ込んでくるようなキスを、美咲はうっとりと享受する。
「それより、本当に大丈夫か?」
角度を変えて何度も口づけをしたあと、吐息の交わる距離で顔を覗き込んできた。どうやら、まだ同窓会について心配しているらしい。
美咲は心配性な恋人を安心させるように微笑んだ。
「はい。あれからもう何年も経ってるので。そういえば、大翔さんは今の北見さんについてなにか知ってるんですか?」
「いや。訓練中に会社を辞めたばかりの頃は何度か連絡があったけど、無視し続けてそれっきりだな。当時のサクラ航空内でも、なんとなく彼女のことを口にするのはタブーみたいな雰囲気があったから」
佐奈の父もサクラ航空のパイロットだったため、初の父娘パイロットとして広報活動にもさかんに関わっていた。そんな彼女が訓練中にアルコール検査に引っかかって謹慎になった上、途中で離脱し退職したとなれば会社としても頭の痛いスキャンダルだ。
そのため、佐奈の退職後の話は噂すら話題にのぼることがなかったらしい。
「そうなんですか」
「気になるか?」
「いえ。それよりも、あの、この体勢の方が……」