すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~

抱き上げられてここに連れてこられてから、大翔の膝の上に座らされたままだ。いくら彼が鍛えているとはいえ、ずっと美咲が乗っていたら重いだろう。

もぞもぞと大翔の膝から下りようと試みるけれど、腹部に巻き付いた彼の腕が緩まることはない。それどころか、さらにぎゅっときつく抱きしめられた。

「今日で店舗に立つのは終わりなんだっけ?」
「はい。副店長も完治したみたいで、明日から出勤してくれます」
「そうか。じゃあ明日からはずっと本社なんだな」
「そうです。大翔さんは国内線ですよね。福岡の往復でしたっけ」

美咲の問いかけに返事がない。
肩口にぐりぐりと顔を埋め、甘えるような仕草に胸がキュンとなる。

同じ部署に悠輔がいるため、気にしているのだろう。同窓会の件で美咲が不安にならないように甘やかそうとしているのかと思いきや、彼もまたちょっとした不安を抱いているのかもしれない。

美咲は大翔の背中に腕を回し、右手でサラサラの髪をそっと撫でた。

「……心配しなくても、そんなに頻繁に話したりしませんよ?」
「わかってる、美咲を信用していないわけじゃない。ただ同僚だろうと客だろうと、どこで誰が美咲を口説こうとするかわかんないだろ。こんなに可愛い彼女を持つと、心配が絶えないだけだ」

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