すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~
翌日は空港近くのホテルにステイし、さらにその翌日の午後七時十分、定刻通りにウィーン国際空港を出発した。羽田空港には午後一時頃の到着予定で、約十二時間半に及ぶフライトだ。
国際線は国内線と違い、機長二名、副操縦士一名の計三名が乗務し、交代で操縦席に座る。長距離フライトは集中力を保つためにしっかりと休憩をとったり、自動操縦の間に会話をしてリラックスすることも大切にしている。
とはいえ、自動操縦の間はなにもしなくていいというわけではない。
旋回する角度が正しいか、上限を超えるスピードが出ていないか、常に計器を確認し、入道雲などが現れればそれを避ける操作をしなくてはならない。
あと三十分ほどで着陸となる現在、PMを長嶋が、PFを大翔が担当していた。
事前のブリーフィングでは天候に問題はなく、東京の空もよく晴れているという予測だった。偏西風の影響を受け、予定よりも十分ほど早く到着する予定だ。
安定した飛行を続けていたはずが、突然コックピットに大きな警告音が鳴り響いた。
アイキャスと略されるモニタリング装置は、油圧系統、空気系統、電気系統、燃料系統、さらに降着装置の状態などを監視し、異常発生時に警告を発する。