すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~
(必ず無事に降ろしてみせる)
「各務くん」
長嶋に呼ばれ、大翔はピンと背筋を伸ばす。
「はい」
「羽田に着いたら、美味しいコーヒーで乾杯しましょう」
お茶目な彼らしい激励に、大翔から無駄な力みが抜けた。大翔は口元に笑みを浮かべて答える。
「美咲はもうあの店には立ってませんよ。それに今日は彼女が夕飯を作ってくれているはずなので。またの機会に誘ってください」
「それは残念です。でも食事を作って待ってくれているのなら、早く帰らなくてはいけませんね」
「俺だけじゃなく、この機に乗っている全員を、大切な人の元へ必ず返します」
大翔は正面の計器と操縦桿から視線を逸らさないまま、大きく頷いた。