すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~
「展望デッキで着陸を見守っていた人たちから、パイロットを称賛する声がたくさん聞こえたんですよ。私も、改めてすごいなって思いました。みんなの安全を守ってくれて、無事に帰ってきてくれて、ありがとうございます」
「……美咲」
「あっ、ごめんなさい。いつまでも廊下に立たせっぱなしで。ご飯できてるので、着替え――」
大翔の腕の中から抜け出そうとした瞬間、彼は軽々と美咲を抱き上げた。
「きゃっ! ひ、大翔さん?」
ぎゅっと抱きしめるように抱いたまま、しっかりした足取りでそのまま廊下を歩いていく。彼の向かう先が寝室だと気付いた美咲は、慌てて「下ろしてください」と身動ぎをしたがびくともしない。
そのままベッドまで運ばれ、抗議する間もなく唇を塞がれた。
「美咲が好きすぎて、どうにかなりそうだ」
キスの合間に囁かれる声に、身体の奥がきゅうっと疼く。
美咲を見下ろす瞳には獰猛な男の色香が宿り、その視線に晒されるだけでゾクゾクする。
このまま身を委ねてしまいたくなるけれど、彼は今日十二時間を超える長距離フライトだったのだ。そこに重大なトラブルまで発生して、心身ともに消耗しているに違いない。