すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~
初めての恋人に舞い上がり、なにもかもが新鮮な毎日。少しでも顔を見たくて、彼の勤務する羽田空港の第一ターミナルにあるカランドでバイトを始めたのもこの頃だ。
ファーストキスも、その先も、すべて大翔に捧げた。彼はとても美咲を大切にしてくれて、好きだという気持ちはどんどん膨らんでいく。
けれど同時に、彼の元恋人である北見佐奈の存在に悩まされてもいた。
大翔の大学の同級生だった彼女もサクラ航空に就職し、さらに同じパイロット訓練生。
佐奈の父もサクラ航空のパイロットのため、入社後は〝美人パイロット訓練生〟〝サクラ航空初の父娘パイロットへ〟など、まだ訓練の始まらないうちから会社の顔としてメディアにも露出していた。
大翔の新しい恋人の存在を聞きつけた佐奈は、一緒に帰るために彼の退勤を待っていた美咲のところへやって来ると、品定めするように頭のてっぺんからつま先まで視線を往復させる。そして小馬鹿にするように口の端を上げて妖艶に微笑んだ。
『まさか大翔があなたみたいな子供を選ぶなんてね。お願いだから、仕事の邪魔だけはしないであげて』
社内でも有名な佐奈から唐突にぶつけられた言葉は、美咲の胸を深く刺し貫いた。