すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~
『やだ、そんなショックを受けたみたいな顔をしないで。だって元々私と付き合っていたのよ。あなた、私以上に彼に釣り合っている自信でもあるの?』
大翔が佐奈と交際していたという事実を、彼女から聞かされて初めて知った。足元がぐらりと揺れるような心もとない気分は今でも忘れられない。
彼と釣り合っていないなんて、他人に言われなくても自分が一番感じていたことだ。あれほどなんでも揃っている大翔のような男性がなぜ美咲を選んでくれたのか、自分でもわからない。
大翔が大事にしてくれるのは伝わってくるし、想いを伝えてくれた彼を信じて付き合ってきた。
けれど彼が佐奈と交際していたという事実を知り、恋愛初心者の美咲はこれまで考えたことのなかった彼の過去の恋が気になってしまう。
訓練前の地上勤務で大翔と佐奈は同じグランドスタッフとして働いており、周囲に親しげな様子を見せつけるような態度は、いつしか〝大翔と佐奈は学生時代から長く付き合っているらしい〟という噂となって広まっていった。
グランドスタッフとして接客をこなす佐奈はきっちりと髪をまとめ上げ、バッチリメイクを施していて、遠目から見ても一際華やかだ。
そんな彼女が大翔を見つめる瞳にはあきらかな熱が込められている。