すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~

そして佐奈が大翔を見つめていた視線が、たまたま出勤時にそばを通りかかった美咲に向けられると、唇は綺麗な弧を描く。勝ち誇った笑顔は恐ろしいほどに美しかった。

ブラウスに黒いパンツというシンプルすぎる格好の美咲は、ふたりを視界に入れないよう顔を逸らし、そそくさとカランドの店舗へと逃げ去るしかできなかった。

そんな惨めなことが何度か続いたある日。美咲は不安でたまらなくなり、大翔に確認することにした。

『北見佐奈さんって、大翔さんと付き合ってたんですよね……?』

すると、大翔は美咲が知っていることに驚きながらも頷いた。

『美咲に会う前の話だよ』

彼は少し困った顔で笑う。

『心配させてごめん、同じ職場にいるんだから気になるか。でも仕事で話してるだけだよ。彼女には同僚以上の感情はないし、今の俺には美咲がいるんだから』

大翔は美咲を安心させるように抱きしめてくれた。

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