すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~

勧められた椅子に腰掛け、美咲は両手を合わせた。
その様子を向かいに座る大翔が微笑みながら眺めていて、居た堪れないことこの上ない。

八年前はあれほど彼との接触を避けていたのに、こうして助けてもらうだなんて今さらながらムシがよすぎる気がする。

早くここから出ていかなくてはという気持ちばかりが逸って、せっかく作ってもらった食事の味もわからないかも……と考えていたのは、オムレツを口にするまでだった。

「わっ! おいしい……!」

たまねぎにかぼちゃ、パプリカなど様々な野菜の入ったオムレツは、素朴で優しい味わいの中にブラックペッパーのスパイスが効いている。

ベーコンやチーズのおかげで旨味もたっぷりで、ボリュームはあるのにぺろりと平らげられるほどおいしい。

「口にあってよかった」
「すっごくおいしいです。それに栄養満点って感じで、身体が喜んでいる気がします」
「一気に野菜が摂れるからよく作るんだ。美咲が気に入ってくれたなら、唯一の得意料理を披露した甲斐があったな」

大翔と向かい合って食事だなんて、気まずいだけの空間になるに違いない。そう考えていた美咲だったが、意外にも会話は途切れることなく弾んだ。

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