図書館でうたた寝していたらいつの間にか王子と結婚することになりました
「まさか、あなたがアーロン様だなんて知りませんでした。知っていれば……」

「知っていれば、婚約を断ったのに?君ならそう言うだろうと思って、だからこそ明かさなかったんだよ」

「ずるいです、それに私はそこまで思われるような人間ではありません」

「俺はね、欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ。それに、君は君自身が思うよりもずっと魅力的だよ」

 そう言って、アーロン王子は私の目の前まで足を進めると、腰に手を回して来た。ええっ、急に近すぎるんですけども?

「もう婚約者なんだからこれくらいいいよね?ああ、あと君はもっとちゃんと警戒するべきだよ。あの場所は確かに限られた人間しか入れない場所だけど、一人で昼寝なんてしてたら誰かにとって食われてしまうかもしれない。現に、俺は昼寝する君に何度キスしてしまおうかと思ったか……我慢した俺をほめてほしいくらいだよ」

 そう言って、アーロン王子の手が私の頬に伸びて、ゆっくり撫でていく。うう、こそばゆいし恥ずかしい!

「そういうわけで、もう我慢しなくてもいいよね?」

 そのまま、いつの間にかアーロン王子の唇が私の唇に重なっていた。アーロン王子の顔が離れると、私の顔を見て嬉しそうに笑っている。

「茹蛸みたいだ」

「……!もう!アーロン様のせいです!」

「ははは、ごめんごめん、俺の婚約者は可愛いなぁ」

 そう言って、ギュッとアーロン王子は私を抱きしめた。うう、恥ずかしくてドキドキする。でも、密着するアーロン王子の体からもドクドクと心臓の早い音が聞こえてきて、もしかしてこの人もすごく緊張しているのかも?そう思ったら少しだけほほえましくなった。

「あ、そうだ。期間限定っていったけど、俺は期間限定にするつもりはないからね。君のこと手放す気はないから、絶対に落として見せるよ」

 ああ、これは完全に確信犯ですね……。かくして、私はアーロン王子と婚約し、半年後に結婚することになった。



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