図書館でうたた寝していたらいつの間にか王子と結婚することになりました



「ベル!ベル!これは一体どういうことだ!どうしてお前が、第二王子アーロン様から婚約の申し込みが届いているんだ!?」

 数日後、司書の仕事を終えて自宅に戻ると、父親が血相を変えて私の元にやってきた。えっ、アーロン王子から婚約の申し込み?どういうこと?

 父親の持っているアーロン王子からの手紙には、まごうことなく私への婚約の申し込みが書かれていた。王立図書館中枢部で私を見て一目ぼれしたこと、何度か会話をするうちに内面にも惹かれたこと、婚約の申し込みについては私の許可をすでに得ていることも書かれていた。って一目ぼれ?そんなばかな、私、昼寝してただけなんですけど……。口を開けてよだれたらしててもおかしくない。

 そもそも、あの人がアーロン王子だなんて信じられない。王子があんな風にふらふらしてていいわけがないと思う。でも、確かに素性を聞いても言わなかったし、何なら隠しているようにも思えた。本当にあの人がアーロン王子なの!?




 そうして、あれよあれよという間に顔合わせの日がやってきた。屋敷にやってきたアーロン王子は確かに王立図書館中枢部で出会ったあの人本人。ひえええ、王子と知らずに接していたけれど、何か失礼なことしてなかったかな?アーロン王子を見た両親はその美しさにくらくらしてしまい、気を失わないように必死で、見てるこっちがひやひやしてしまう。

 二人だけで話がしたいというアーロン王子の要望で、二人で庭園にやって来た。

「ようやく二人きりになれたね。いつもは司書の制服姿だったけど、ドレス姿の君も本当に素敵だ」

 嬉しそうにそう言って私の頭から足先までじっくりと眺めている。そんなに見られたら恥ずかしい。それに、いつも以上に整った身なりでそんなアーロン王子の方こそ素敵すぎると思う。
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