マリアンヌに私のすべてをあげる

私のモーニングルーティン


スタンフィールド家での私のモーニングルーティン。
ロマンスグレーセバスチャンが部屋の扉を軽やかにノックする。
そしてかなりのイケボで優しく起こされ、ラナに流れるようなスムーズさで、動きやすさにちっとも配慮されてねぇヘンテコな服に着替えさせられる。

ダイニングに行けば、朝イチからすでに完璧に美しく仕上がっているエリザベス母ちゃんと、完璧にカッコよく仕上がってるアーノルド父ちゃんと一緒に背筋ビシッで席につく。
クラシックでもかかってきそうな優雅な雰囲気の中を、無理矢理つくって引きつりまくりの笑顔でしょ〜〜もない貴族連中の話を聞かされながら、ゴージャス極まりねぇ朝メシをガチガチになりながら上品に食う。

この朝の一連の動作だけでも須藤家とは真逆だ!!

須藤家での私のモーニングルーティン。
朝になると母ちゃんが扉をノックすることもなくズカズカと私の汚部屋に入り、目覚まし時計が鳴っても一向に起きてこない、ひじょーーに寝起きの悪い娘の体をザツに揺さぶりまくっては、朝っぱらから大声張り上げ終いにはケツをバシバシ叩かれ起こされる。

居間に行けば朝から人生にくたびれてる感満載の父ちゃんが、熱い緑茶を飲みながら新聞広げて読んでる。
母ちゃんはドッすっぴんで髪にカーラーつけたまま朝メシをテーブルの上に並べてく。

大体いつも須藤家の朝メシはご飯と味噌汁と納豆と漬物、メインは目玉焼きか卵焼きか焼き魚か……
それは母ちゃんのその日の朝の気分次第。

ボンバーヘッドの兄貴達と半目状態の私は、パジャマ代わりの着古したヨレヨレのスウェットのままでテレビ観てボーーとする。

そして並べられた朝メシを、その日のゴシップネタと時事ネタ話しながら皆でわちゃわちゃして食う。

これが須藤家の朝なんだよな……

こんな家の娘が何がどうまかり間違って貴族の息子になってんだ!?
もーー堅苦しくってしゃあねぇわ。
私のやる気のカケラもないダラダラしまくった朝を返せっ!!
ここにきてから朝っぱらから気を遣わされ、働かされ、肩こりまくってんだよっ!!
どこにいてても何してても気疲れしかしねーー。

今やリラックスできんのはマリアンヌといる時くらいかも……
私の心のオアシスみたいなもんだよなぁ。
自分がレオナルドじゃないって言うのは勇気がいったけど、マリアンヌと友達になれてマジで良かったわ。

マリアンヌオアシスに感謝だ。







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