マリアンヌに私のすべてをあげる

また目覚めたら……


あったかい部屋でマリアンヌと向かい合わせにイスに座り、のんびりしながらあったかい茶を飲む。
こんな時間を幸せに感じる日がくるとは……

ーーまるくなりすぎだろッ!!

あんなにハッチャけてた過去の自分はどこいったんだ?

『カモミールティー、とても美味しいですねぇ』

いつものごとく出されたオシャレティーを飲んだマリアンヌがほっこり顔している。

『うーーん、まぁまぁかな……』

『ウフッ、アスカさんはあまりお好みではなかったのですね』

『うん。正直言えば…… なんだかわからん味のするこのカモミールティーよりも、日本にいた頃に飲んだ麦茶や緑茶のほうが好きかな』

『ムギチャにリョクチャ…… そんなティーがあるのですか? 初めて知りました。アスカさんの好きなムギチャとリョクチャ…… 私も飲んでみたいです!! フッフフフ』

ドキドキドキッ、、、

ーー太陽みたく眩しい笑顔が……
この笑顔見るたんびに心臓ヤバッ。
平静を装うのに苦労するわっ。
ふぅ。

『いや〜〜マリアンヌの口には合わないかも。それより何か甘いお菓子を持ってきてもらうよう頼んでくるよ』

生理の日っていっちゃ〜〜やたら食欲増すもんなっ。それにマリアンヌは甘いもんが好きだから食べたいだろうし。

そう思いたってイスから立ち上がろうとしたら、急激に視界がボヤけて体に力が入らなくなった。

な、なんだろう……

ーーバタッ、、

『ア、アスカさんッ、アスカさんッ!!!! しっかりしてアスカさんッ!! アスカさーーんッ!!』

❤︎❤︎

ーー私を呼ぶマリアンヌの声がすんげぇ遠くの方で聞こえてるような……

返事してあげたいけど声が出ない……
それになんも見えない……真っ暗じゃん。
私……倒れたのか……?
どうなったんだ?
体が……体がフワフワ浮いてるような感覚だ。

とにかく早く起きないと……
倒れたんなら目を開けて起き上がらないと……

んっ……でも……次目ぇ覚ましたら私はどこにいんだろう……?

もしかしてこのまま日本に帰れちゃったりするのか?
あの汚部屋で目覚めて、父ちゃん、母ちゃん、兄貴達に会えたりして!!!!

ーー会いたいよな……マジで……

いつも通り朝、母ちゃんに叩き起こされて朝メシ食って。
父ちゃんとテレビ観ながら缶ビール呑んで。
兄貴たちのバカ話聞いて腹かかえて大笑いしまくって……

あぁして家族と過ごす当たり前のなんでもない日常が楽しかったよなぁ。

大学ではつまんない授業受けて、バイトへ行って、友達とわいわいしながら居酒屋ハシゴしたり……

そんな日々に戻れるかも。

……そんでまた……自分の欲求満たすためだけにヤったりしてさ。

ーー自分の欲求か……

思えばいつだって欲望の赴くままに生きてたよな。それ以外のことなんてどーーでもよくて。

ーー自分以外のことなんて……

誰かと本気で向き合ったことなんてなかった……面倒だって思ってたから。

ーーマリアンヌと出逢うまでは。

今は初めて知ったこの感情を面倒だなんて思えない。
それにどんな時だって向き合っていたいって思える。

ーー私にとってマリアンヌはそう想わせてくれる人だ。

私は変わったんだな……。
こんな私にも自分なんかよりも大切に想える人ができて。

日本に帰りたいだなんて考えてる場合かっ!!
万が一レオナルドがもとに戻ったりしたら、マリアンヌが幸せになれないだろ!!

ーーまたうつむかせてしまう……

絶対にそうはさせない!!
あの顔を曇らせるようなことは二度とさせないからなっ!!
私はマリアンヌの笑顔がスキだから、ずっと笑ってて欲しいんだ!!

父ちゃん、母ちゃん、兄ちゃん達…… ごめん……私は……

このまま日本に帰れなくても、みんなに会えなくても、今まで過ごしていた日々に戻れなくても、それでもいいから……

ーー私のすべてを投げうってでもーー
ーーマリアンヌに逢いたいーー

もう一度あの笑顔が見たい!!
そして幸せにしてやりたい!!
だからまた目覚めたら……私はマリアンヌのもとへ帰りたい!!!!

ーーそう願ってもいいかなぁ……








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