マリアンヌに私のすべてをあげる

うつむきマリアンヌ再び


今日は舞踏会ぶりにマリアンヌと会うことになるなーー。
あれから二週間か……元気にしてたかな。


そわそわとエントランスに出て待ち構えていた私のすぐ前で、馬車がピタリと停まりマリアンヌが降りてきた。

『ご機嫌よぅ……レオナルド様……お待たせいたしました……』

ゲッ……またうつむきマリアンヌになってる。
声も虫の息声だし……

『マリアンヌ、元気にしてた?』

『はぃ……』

全然元気じゃねーーし!!

『に、庭でお茶でもしよう』

『はぃ……』

花と緑の楽園に連れて行けば、ちょっとは機嫌がなおるかも……。

私は再びうつむきサタ子化したマリアンヌを連れ庭へ行った。

❤︎❤︎

マリアンヌ……さっきから全然喋らねーー。
黙ったままで、うつむきマリアンヌのまんまじゃん。

ーーもうどうすりゃいいんだ!?

向かいの席でうつむきサタ子化したマリアンヌと同じように私もうつむいて考えた。

素直に舞踏会の時のことを謝ったらいいのか?
ーーなんで私が謝るんだ……?
マリリンモンルーサラと何もしてないのに。

ーー私は女ですからッ!!

これだから男と女の面倒な恋愛事が嫌いなんだよ。
大体そもそもだなーーこれはレオナルドとマリアンヌの問題であって、私には一切関係ねーー。
それなのに私が今、なぜだかレオナルドになってしまっているから余計に話がややこしい。
すっかりいざこざに巻き込まれてるしっ。

まだ怒ってんだろうな……マリアンヌ……

顔を上げ、うつむきサタ子化しているマリアンヌに視線を向けてみると、マリアンヌのブラウン色した長いゆるふわウェーブヘアに黄色の蝶々がとまっていた。

『マリアンヌッ!! 髪に蝶々がとまってる!!』

『蝶々……』

マリアンヌがすっと顔を上げた。

『あっ、リボンみたいになってるよ!!』

『リボン…… 蝶々が……ウッフフフ』

ーーマリアンヌ……やっと喋った……しかも笑った……

『蝶々をリボンみたいだなんて…… レオナルド様は可愛らしいことを仰いますねぇ。フフフフ』

『えっ、、そう見えたから言ったんだけど……』

『ウッフフ』

めちゃツボにハマってんじゃん!!
ふぅ。笑ってくれるとホッとするな。

『あのさ…… 舞踏会の時のことだけど…… サラ嬢とは何もないから』

『……そうですか』

あれっ、、
また顔が暗くなった。
なんだ……何かまずったかっ?

『なんか怒ってる?』

恐る恐る私が尋ねると、マリアンヌがゆっくりと口を開いた。

『……私……ずっとレオナルド様に嫌われてると思っていました。私はどうしたって私のままで…… この先もレオナルド様が好まれるような女性にはなれそうにありませんし……』

そりゃあ、そばかす消してから自分に会いに来いだなんて言われりゃ嫌われてるって思うわ!!

『でも、最近のレオナルド様がとてもお優しかったものですから…… だからあの日は少し悲しくなってしまって。サラ様と大広間から出て行くお姿を見るのも、お二人でファーストダンスを踊っているお姿を見るのも。あの日はなんだか…… 私はまだまだダメですね。レオナルド様の婚約者として未熟者で。上手く感情をコントロール出来なくなってしまい…… すみません』

ーーマリアンヌ……

『謝る必要なんてないだろう!! 悪いのは全部レオナルドだッ!!』

ヤベッ、、

『……えっ?』

『いや、そうじゃなくって悪いのは自分だから謝らないで欲しい……』

もう自分がレオナルドだか明日翔だか訳分からんようになってきたわ!!

『…… お優しいお言葉ありがとうございます……』

たぶんこの言葉にはなんの感情も入ってないんだろうな……
またマリアンヌと距離ができてしまった……

ーーこのままなのはイヤだな。

あっそうだっ!!

『今度、一緒に出掛けよう!! マリアンヌが好きな所に連れて行って欲しい!!』

『私の好きな所……ですか?』

『うん!! 行こうよっ!! マリアンヌの行きたい場所に』

『…… そ、それでしたらバルロッタの滝を観に行きたいです……』

滝か……修学旅行で観に行った以来だよなーー。
バルロッタの滝、どんなだろう……?
この世界で常に気苦労しまくってるから、ここらでマイナスイオンでも浴びてリフレッシュしに行くとするかっ!!

『わかった!! じゃあ今度一緒に行こう!!』

『はい……』

マリアンヌ、女同士仲良く観光して楽しもう!!








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