崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
 友達と絡み、拗らせた片想いをいじられてへそを曲げるといった姿はあまりスパダリ感こそないが、そういった部分は格好いいターンで存分にアピールすれば問題もなく、また『学生らしい年齢に見合った素の姿』であればキャラ崩壊にはならないはずだ。
 
 そう思った私は漫画を描く時に使っているアプリを一度閉じてメモアプリを起動する。

(ヒロインの前では格好つけているヒーローを描写してから、次のシーンで学生させているところへと繋げるのがいいかも)
 落差を表現する時に、間はあまり空けない方がいい。もちろん間を空ける方がいい場合もあるが、そのテクニックはギャップを表現するというよりどちらかといえば伏線回収に近いだろう。
「例えば朝から家に来てるとか」
 幼馴染なのだ、寝坊しがちなヒロインを朝起こしに来るとかはおかしくない。美味しい朝食を作ってくれて、起きてきたヒロインの鼻を朝食の香りがくすぐるというのは最高だ。そして彼女に朝食を食べさせ、一緒に登校。大学に着いたあとは互いの友達と合流し一度解散させ、そして同性の友達にからかわれているところで再び合流させればいい。
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