崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
 あはは、と思い切り笑う高尚をジロッと見る。からかわれた、なんて思いつつ、彼から提案された内容は本当に良かったし、このふたりのやり取りとしてあり得そうなことばかりだった。
 朝食のパンケーキに関しては、ヒロインの家にそんなオシャレなものを作れる材料が揃っているとは思えないので却下ではある、が。
(でも、ヒロインの好きそうなパンケーキ、ってわざわざ言ってるってことは、少なくともあの朝の高尚は私がパンケーキを喜ぶと思ってそれを作ってくれたのかも)

 別に自分をヒロインだと思っているわけではないし、高尚は朝食の選択肢のひとつとしてパンケーキがあるのかもしれないが、それでもあの朝、彼が私のことを考え私が好きそうな朝食を作ってくれたのだと思うとこそばゆい気持ちになる。
 そしてそんな彼が愛おしい。

 またひとつ好きになったかも、なんて。流石にそれは乙女思考すぎだろうか?
(いいよね。だって私は少女漫画家なんだもの)
 乙女思考で何が悪い。それを白い平面からドラマとして構築し、読者にトキメキを届けるのが私の仕事なのだから。
< 43 / 161 >

この作品をシェア

pagetop