崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない

3.乗り越えろ、修羅場!②

 直しが入っていたところを修正し終えた私は、そのページを担当である増本さんへ再送してから大きく伸びをした。集中していたせいか体がバキバキである。
(時間は一時半か)
「そろそろ今日の作業終わろっか」
 今日は早い方だと満足しながら浅見へと声をかけた。
 
「了解! 私も丁度キリがいいよー。あ、背景入れたとこの確認だけお願いしていい?」
「ありがとう。わ、すごい、もうかなり入ってる! 浅見さまさまだ」
「アシスタントですから! じゃあチェックして貰ってる間にお風呂借りていい?」
「もちろんっ。使い方は――」
「わかるに決まってるでしょ」
「あはっ、だよね。タオルもいつもと同じとこだから」
「オッケー」
 
 まだ泊まり込むほどのヤバい進行状況ではないものの、浅見の家が少し遠い関係ですでに今晩から泊って貰うことになっている。
 既に慣れっこという感じでお風呂へと向かった浅見を見送った私は、背景のチェックへと入る前に自身のスマホを起動した。
「あ、高尚からメッセ入ってる」
< 72 / 161 >

この作品をシェア

pagetop