抜け、幸子！

「幸子。先生がお前やっても、やっぱり悩むと思う。

でもな、やっぱり先生は抜くと思うねん。

障がい持ってる人に対する優しさは、特別やからって気持ちで手を抜くことやないと思う。

もし運動会当日、お前が芳樹を抜いたら、『あの子はなんて子やろう』って思う人もいるかもしれん。

だから、先生は自分の考えをお前に押し付ける気はない。

お前は、お前が悩んで悩み抜いて出した結果に従って行動したらええ！

先生はお前が芳樹を抜いても抜かへんでも、お前のことを誇りに思うから」


幸子は大粒の涙をこぼし、泣きながらも大きくうなずいた。