抜け、幸子!
運動会当日。

朝、幸子に声をかけた。


「幸子どや? 結論出たか?」


幸子は自信なさげに小さくうなずいた。

運動会はプログラム通りに進んだ。


そして、運動会のラストを飾る「六年生クラス対抗全員リレー」の順番になった。


入場門に整列した幸子は、そばにいた私にポツリ言った。


「どうしても抜かれへんほどの差がついてたらええのに……」


悲しそうに微笑んだ。

「幸子、抜くんやな?」

と聞くと、幸子は大きくうなずいた。




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