怜悧な裁判官は偽の恋人を溺愛する
攻防は続く
「すごい! パーティーなんて、私行ったことないわ」
そう言って、浜本チーフこと浜本美香は目を丸くした。
パーティーに参加した二日後。百貨店のポイントキャンペーン期間が終わったこともあり、来客数も落ち着いて、店内には穏やかな空気が流れていた。
「ハイスペな彼氏さんか……羨ましいわぁ」
なぜ美香が優流を知っているのかと言うと、話は今朝に遡る。
今日も優流と一緒に出社したのだが、偶然にも裏口の前で、偶然チーフと鉢合わせた。彼との関係性を聞かれて彼氏と答えた結果、私は美香からの質問攻めにあっていたのだ。
「本当に、そんな素敵な人、どこに落ちてんのよ」
「は、はは……」
「でも、安心した」
「え?」
「頼もしい彼氏さんが一緒に帰ってくれるなら、安心だもんね」
そう言って、美香は私の背中を叩いた。
そんな会話を繰り広げていると、見覚えのある姿が店に近づいてくるのが見えた。
やって来たのは、赤いウインドブレーカーを着た男……木下だった。
「今日は私が担当するわ。見張りは新人の子に任せるから、高階さんはバックヤードに隠れてて」
真剣な表情で、美香は私に囁いた。彼女も大城店長から、木下の件について共有されているらしい。
「私だって、色んな接客の修羅場をくぐり抜けて来てるんだから大丈夫よ。だから、任せて?」
頼もしい同期は、私にそう言ってくれたのだった。
そう言って、浜本チーフこと浜本美香は目を丸くした。
パーティーに参加した二日後。百貨店のポイントキャンペーン期間が終わったこともあり、来客数も落ち着いて、店内には穏やかな空気が流れていた。
「ハイスペな彼氏さんか……羨ましいわぁ」
なぜ美香が優流を知っているのかと言うと、話は今朝に遡る。
今日も優流と一緒に出社したのだが、偶然にも裏口の前で、偶然チーフと鉢合わせた。彼との関係性を聞かれて彼氏と答えた結果、私は美香からの質問攻めにあっていたのだ。
「本当に、そんな素敵な人、どこに落ちてんのよ」
「は、はは……」
「でも、安心した」
「え?」
「頼もしい彼氏さんが一緒に帰ってくれるなら、安心だもんね」
そう言って、美香は私の背中を叩いた。
そんな会話を繰り広げていると、見覚えのある姿が店に近づいてくるのが見えた。
やって来たのは、赤いウインドブレーカーを着た男……木下だった。
「今日は私が担当するわ。見張りは新人の子に任せるから、高階さんはバックヤードに隠れてて」
真剣な表情で、美香は私に囁いた。彼女も大城店長から、木下の件について共有されているらしい。
「私だって、色んな接客の修羅場をくぐり抜けて来てるんだから大丈夫よ。だから、任せて?」
頼もしい同期は、私にそう言ってくれたのだった。