怜悧な裁判官は偽の恋人を溺愛する
「ポップアップストア、大人気みたいですね。今日はストアのショップバッグを持ったお客様が、コスメフロアにもたくさんいらっしゃいましたもの」

「そうなのよ。今日は一日ショップ店員みたいな感じで、お店も手伝ってたんだけど……お客様が最後まで途切れなくて、もうヘトヘトよ」

「本当に、お疲れ様です」

 和やかな空気の下、ガールズトークに花が咲く。楽しい時間はあっという間で、気づいたらパスタもピザも完食していたのだった。

「さて、だいぶ場も温まって来たことだし。この話題にいっちゃいましょうか」

「?」

 デザートのミニケーキと食後のアイスティーが運ばれてきてから、凛は芝居がかった咳払いをして言った。

「高階さん。お兄ちゃんのこと、どう思う?」

「っ!?」

 思いがけない問いかけに、飲んだ紅茶を吹き出しそうになる。慌てて飲み込んだせいで、私は咳き込んでしまった。

「ごめん、びっくりした?」

「げほっ、なっ……びっくりしたも何も……どうしたんですか、急に……!」

「いやね、二人が行き帰り一緒にするようになってだいぶ経つから、進捗はどうなのかなーって」

「な、何の進捗ですか!?」

 不意に優流の顔が思い浮かび、顔が熱くなる。体温を下げるために、私はアイスティーをミルクも入れず、がぶ飲みした。
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