怜悧な裁判官は偽の恋人を溺愛する
とはいえ、涼太の性格を知っている私からすれば、勘違いされたままなのは、あまりにも涼太が可哀想だ。会話が一段落したところで、私は口を開いた。
「その……御堂さん。さっき裏口で会った月島君、ああいう外見ではありますけど、中身はとっても良い子なんです。だから、変なことをするタイプでは絶対ないので……悪く思わないであげてください」
私がそう言うと、優流は少し驚いたように目を見開いた。しかしその表情は、すぐに笑顔へとかわった。
「どうやら貴女を勘違いさせてしまったみたいですね、失礼しました。彼を疑っている訳ではありませんので、安心してください」
優流が勘違いしていたと思ったのに、私を勘違いさせたとは……?と内心首を傾げたものの、そこで私は、コーヒーの匂いが鼻を掠めたことに気づく。
「今、コーヒーの香りがしたような……?」
公園で木下を目撃してから、私たちは行きも帰りも公園の傍の道を通らず、人通りの多い大通り沿いの道を使っていた。そこには飲食店が立ち並んではいるものの、コーヒーショップはないので、不思議だったのだ。
「ああ、さっきまで喫茶店にいたので、服に匂いが移ったのかもしれませんね」
「喫茶店? 御堂さん、さっきまで仕事だったんじゃ……?」
「いえ、いつも残業してこの時間になるのですが、今日は定時で終われたので……近くの喫茶店にいたんです」
「そんな……! わざわざ待っていただかなくても……っ」
行き帰りを共にするのは、あくまで「時間が合ったら」という前提の上でのことだ。優流を待たせていた申し訳なさで、私はいっぱいになっていた。
「気になさらないでください。……ただ自分が、一緒に帰りたかっただけなので」
「その……御堂さん。さっき裏口で会った月島君、ああいう外見ではありますけど、中身はとっても良い子なんです。だから、変なことをするタイプでは絶対ないので……悪く思わないであげてください」
私がそう言うと、優流は少し驚いたように目を見開いた。しかしその表情は、すぐに笑顔へとかわった。
「どうやら貴女を勘違いさせてしまったみたいですね、失礼しました。彼を疑っている訳ではありませんので、安心してください」
優流が勘違いしていたと思ったのに、私を勘違いさせたとは……?と内心首を傾げたものの、そこで私は、コーヒーの匂いが鼻を掠めたことに気づく。
「今、コーヒーの香りがしたような……?」
公園で木下を目撃してから、私たちは行きも帰りも公園の傍の道を通らず、人通りの多い大通り沿いの道を使っていた。そこには飲食店が立ち並んではいるものの、コーヒーショップはないので、不思議だったのだ。
「ああ、さっきまで喫茶店にいたので、服に匂いが移ったのかもしれませんね」
「喫茶店? 御堂さん、さっきまで仕事だったんじゃ……?」
「いえ、いつも残業してこの時間になるのですが、今日は定時で終われたので……近くの喫茶店にいたんです」
「そんな……! わざわざ待っていただかなくても……っ」
行き帰りを共にするのは、あくまで「時間が合ったら」という前提の上でのことだ。優流を待たせていた申し訳なさで、私はいっぱいになっていた。
「気になさらないでください。……ただ自分が、一緒に帰りたかっただけなので」