怜悧な裁判官は偽の恋人を溺愛する
私がそう言うと、優流の表情がパッと明るくなった。

「そうですね、今日行った喫茶店も、月ごとに期間限定のパフェが食べられるので、毎月行ってますし、あとは……」

「あ! そこのお店、私も行ったことあります!」

 私たちは駅に着くまで、スイーツの話題で盛り上がっていたのだった。

 駅で電車を待つ間、優流はこれまで食べたパフェの写真を見せてくれた。ちなみに、一瞬見えたスマートフォンのロック画面も、パフェの写真だった。

 そんなこんなで、私たちは町川駅にまで着いたのだが、自宅まであと少しのところで、急に雨が降り出してきたのである。

「折りたたみ傘……っあ、ロッカーに忘れた!!」

「とりあえず、高階さんのマンションまで走りましょう!」

 雨足はあっという間に強くなり、私のマンションのエントランスに着いた頃には、二人そろってずぶ濡れになっていた。

「ふふっ、最後の最後で大変な目に遭いましたね」

 優流と困ったように笑ったものの、雨が落ち着く気配はない。

 優流の家はここからまた五分ほど歩かないといけないので、彼は再び大雨の中走ることになってしまう。
< 66 / 120 >

この作品をシェア

pagetop