縁の桜
胴着の色の違う幾人もの花火師達が、各々の陣を構え作業をしている。
彼等が陣取っている側の川岸は、打ち上げ花火に使用する様々な道具が所狭しと列べられていて歩きにくい。
桜に見とれて歩く藍は足元が疎かで、導火線を繋いでいる若い花火師に気付かず躓いた。
「あ……っ」
倒れかかる体を咄嗟に支えられる。
「大丈夫か?……すまない」
(えっ!? わたしが悪いのに)
藍は思いながら
「……ごめんなさい。足元を見ていなかった」
深々と頭を下げた。
彼の吸い込まれるような眼差しに戸惑う。
全てを見透かされてしまうのではないか?
そう感じたが、彼の微かに見せた笑顔は呆気に囚われるほど温かかった。
「あんた、鼻緒が」
言われて藍は足元に目を落とす。
ぶつかった時に切れたのかしらと思っていると、彼は藍の下駄を優しく脱がせた。
「しっかり肩に掴まっていろ」と言うと、
腰に結んだ手拭いを素早く裂き、藍の鼻緒を修理した。
彼等が陣取っている側の川岸は、打ち上げ花火に使用する様々な道具が所狭しと列べられていて歩きにくい。
桜に見とれて歩く藍は足元が疎かで、導火線を繋いでいる若い花火師に気付かず躓いた。
「あ……っ」
倒れかかる体を咄嗟に支えられる。
「大丈夫か?……すまない」
(えっ!? わたしが悪いのに)
藍は思いながら
「……ごめんなさい。足元を見ていなかった」
深々と頭を下げた。
彼の吸い込まれるような眼差しに戸惑う。
全てを見透かされてしまうのではないか?
そう感じたが、彼の微かに見せた笑顔は呆気に囚われるほど温かかった。
「あんた、鼻緒が」
言われて藍は足元に目を落とす。
ぶつかった時に切れたのかしらと思っていると、彼は藍の下駄を優しく脱がせた。
「しっかり肩に掴まっていろ」と言うと、
腰に結んだ手拭いを素早く裂き、藍の鼻緒を修理した。