月とスッポン      ありのままは難しい


そっと手を合わせ、振り向けば、御朱印をお願いしている大河。
うん、平和だ。

境内に奉納されている石像を一通り見てから、ほんの数秒待っていれば終わる事を確認してから「先に行ってる」と水観寺を後にする。

「置いていかないでください」

と笑いながら大河が追いかけてくる。

少しだけスピードを上げ、拝観受付の門を通り抜けた。

ゴールと両手を上げ振り向けば、受付のおじさまと目が合う。
急に恥ずかしくなり頭を下げれば、私の頭に手を置いた大河も一緒に頭を下げた。

「お疲れ様でした」
と聞こえるか聞こえないかの音量でいうおじさまに「お邪魔しました」と最後頭を下げ、園城寺を終えた。
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