月とスッポン      ありのままは難しい
石井寺

駐車場に戻り、大河を助手席に追いやる。

「ゆっくりしたとは思ったけど、案外時間に余裕がありますね。これなら余裕で石山寺も回れそうです」

ナビをセットして「では出発!」とアクセルを踏んだ。

ルートに従い、琵琶湖沿いを走っていく。
建物で琵琶湖は見えないけれど広がる空がそこに琵琶湖があると教えてくれる。

「《石山寺は近江八景【石山の秋月】としても名高い寺院で、全国でも類を見ない天然記念物である巨大な硅灰石の上に建てられているそうです》」
「けいかいせき」
「《珪灰石は主に石灰岩とシリカを含む岩石が熱変成によって生成され、大理石は石灰岩が熱変成によって再結晶化したものです》」

大理石と喉まで出かけたけれど、大理石について話を膨らまされても困るので「へー」と流しておく。

「だから石山なんですね」

石山寺講座に戻るようにするのも欠かせない。
小腹対策に買ってきてあったじゃかりこをつまみ、講座をBGMに運転する。
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