月とスッポン      ありのままは難しい
旅立ちの夜
「では、出発!」

と出発する予定が、今なぜは羽田空港に向かっている。

いつも通り勝手にこちらに来るだろうと高を括っていたが、大河は現れず連絡もない。
予め大河の車は店の駐車場に置かれていたので、私は特に困らない。人の車で行くにはどうかとも悩んだが、『乗っていいのなら、せっかくだし』と自分に言い訳しながら荷物を詰め込み終えた。

なんなの!とは思うが、予定を変更する義理もない。
ならば、と準備を整えていれば海から連絡が入る。

「出発前に来て!」と

少し遠回りになるが、海のお願いとならばと向かえば、慶太郎の部下である東雲さんが海と一緒に私を出迎えてくれた。

そして、今なぜか東雲さんを乗せ羽田空港に向かっているのだが。

「ありがとうございますぅ」と語尾を伸ばした男性が好みそうな可愛らしい女の子を具現化したと言っても過言ではない東雲さんにお願いされたら「NO」とは言えない。

彼女のような女の子に生まれたら、それはそれで人生楽しそうだ。
まさにヒロイン。
だけど、お姉様と敵対はしたくない。2人でタックを組んで世界征服でも・・

「茜ちゃんはこれから延暦寺に向かうんだよね」

ほぼ初対面、初めてまともに会話をしたにも関わらずかかわらず、「ちゃん」付け。
コミュニケーション能力が高い。

それに比べて、現実世界に戻っても「はい」としか答えれない私の能力の低さ。
人気女子にはなれないと確信する。
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