月とスッポン      ありのままは難しい
「元々延暦寺で僧侶をしていたが、300年前に始めた蕎麦屋さんの本店は建物自体が見応えバッチリなんで是非見てほしいけど、蕎麦を食べるだけなら比叡山にもあるから、食べてほしいなぁ」

とか

「会館から琵琶湖を眺めながら飲むラテは最高なので、ぜひぃ」

とか

「比叡山の麓に元号亭っていうぅ、レストランがあるんだけどぉ。お手軽なお値段で美味しい近江牛が食べれるからオススメ!」

などの食情報や

「日吉大社の前の道に穴太衆が組み上げた石垣があるから見て欲しいぃ。っていうか見るべき!」

などのオススメスポットを東雲さんが教えてくれている間に、羽田空港に到着する。

夜も遅いからか、無事に車を寄せる事が出来下ろして「さようなら」かと思えば、
「ちょっと待っててねぇ」と可愛らしい女子が持つ小さな鞄を置いて車を降りていく。

よく見てみれば、大河のいつもの鞄が後部座席に鎮座し、男物のスニーカーが置いてある。
海たちが出発前にゴゾゴゾとやっていたのはこれか。

「言えばいいじゃん」と呟きながら、
顔を見上げれば、鞄を持った東雲さんが空港に入っていく姿が目に入る。

「どんだけ信用がないんだ?」

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