月とスッポン      ありのままは難しい
間に合わないから空港まで迎えに来てくれ

そう言ってくれればいいのに。
そう思いながらため息をつく。

ん?
意気揚々と迎えに行くのか?私?

一緒に行くと言った約束を破るのは嫌だ。
でも、どうしても一緒でなければならない理由などないはずだ。

小さく首を振る。

どちらにしても東雲さんの連絡先を知らない以上、戻ってくるのを大人しく待つしかない。

深く考えない。今日を楽しむ。

そう呟きながら、目的地をセットしエンジンを止めた。

「間に合わないから空港まで迎えに来てくれ」

と言われたら

「私を呼びつけるなんて。お礼はちゃんと用意してあるんでしょうね」

とお姉様なら言うだろうか?

「もーしょうがないなぁ。迎えに来てあげたんだから、美味しいものご馳走してね」

と東雲さんなら言うだろうか?

どちらにしてもお礼は貰うのか。
これが海に言われたのならば
「迎えに来たよ!褒めて、褒めて」
となるだろうな。

チョロいな、私。

「ケ、セラセラ」

これをこれから何回唱えるのだろう。

夜の無音は、人をネガティブにさせる。
よくない。よくない。
首を振る。
外にでも出て、大きく伸びでもしようか

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