月とスッポン      ありのままは難しい
顔を上げれば、小走りで駆け寄ってくる東雲さんが見えた。
その後ろにはスーツ姿の人を数人引き連れ優雅に歩く大河がいた。
まさに大名行列。思わず写真に収める。

「これ、どうぞ」と有名チェーン店のコーヒーを大名行列から抜け出てきた東雲さんから手渡された。

「ありがとうございます」
とお礼を言っている間にスーツ姿の人に声をかけた大河が乗り込む。
私の側に現れた慶太郎から、なぜかお礼と励ましを頂く。

「では、出発しましょう」

いや、それ私のセリフだから!

「間に合わないかと、ドキドキしてしまいました」

間に合ってよかったです。
大河でも焦るとこあるんですね。

色々言おうと思い浮かんだが、結局
「仕事なら仕方がないじゃない?」と可愛くない言葉が出てくる。

「そんな寂しい事言わないで下さい」と言いつつ、口角が上がっている気がする、見えないけど。

「優大さんと会ったそうですね」
優大?どなた?

「雫のパートナーです」
「あぁ、お姉様と一緒にいたイケオジ」
「イケオジ?」
「イケてるおじさま」
「おじ、さま」

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