あの夏、君と最初で最後の恋をした

「暑っ!」

買い出しのため外に出た瞬間にそう叫んだ私に、颯太が日傘を差し出してくれる。

「夏の紫外線は肌にキツすぎるからね、
ちゃんと日傘差さないと」

「はーい」

颯太から日傘を受け取り広げると少し暑さが和らぐ。

それでも眩しいばかりの太陽は容赦なく辺りを照りつけている。
だけど気持ちいい太陽だと感じるのは空気が澄んでいるからなのか。

隣に颯太がいるからなのか。


「颯太も入りなよ、暑いでしょ?」

「大丈夫だよ、
暑さとか感じなくなってるんだ」

颯太の言葉を聞いた瞬間、私の胸はチクチクと、ざわざわと嫌な痛みが広がった。

はっきりと線を引かれた、気がした。

だけど、気付かないふりをしてそのまま颯太を日傘に入れる。

「颯太、肌弱いんだから。
焼いちゃダメだよ」

「いや、僕は……」

「今日のご飯何にしよっかなー」

何か言いかけた颯太の言葉を遮り明るく声を張り上げた。

……聞きたくないの、
そんな言葉。

楽しい事、嬉しい事だけでいいじゃない。
せっかく2人で過ごせるんだから。

「友花が作れるのって、カレーじゃない?」

「得意なだけ!
その気になれば他のも作れるよ!」

そう言って笑う颯太にホッとする。

そうだよ、
笑っていようよ。

悲しい事もツラい事もいらない。

散々、味わったんだから。

だから今だけは、
颯太と一緒にいられる今だけは、


2人でずっと笑っていたいの。







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