口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
朝目覚めたつぐみの隣には、清広の姿はなかった。
(やっぱり……)
新婚翌日に、妻をほっぽりだして仕事へ向かう夫に思うところがないわけではない。
計画的に物事を進めていれば、長期の休みだって取れただろうが──二人はどうしても、今すぐに結婚したい理由があった。
(不満があっても、そう割り切るしかないよね……)
──今日は月曜日。
清広が家にいたとしても、つぐみだって仕事がある。
ずっと一緒にいられないのであれば、文句ばかりも言ってはいられない。
身支度を整え納得した彼女がリビングに向かうと──以前とは異なる異変が、リビングのテーブルの上に起きていると気づく。
『出かけてくる』
四角いメモ用紙に、清広の直筆で文字が書かれていたのだ。
(清広さん……。私のお願いしたこと、守ってくれたんだ……)
それを目にしたつぐみはじんわりと瞳に涙を浮かべながら、そのメモの隣に放置されたペンを手に取り──余白に今日の日付を書き込んだ。
(次はいつ、帰ってくるんだろう……)
半年後であれば、十二月頃だろうか。
(やっぱり……)
新婚翌日に、妻をほっぽりだして仕事へ向かう夫に思うところがないわけではない。
計画的に物事を進めていれば、長期の休みだって取れただろうが──二人はどうしても、今すぐに結婚したい理由があった。
(不満があっても、そう割り切るしかないよね……)
──今日は月曜日。
清広が家にいたとしても、つぐみだって仕事がある。
ずっと一緒にいられないのであれば、文句ばかりも言ってはいられない。
身支度を整え納得した彼女がリビングに向かうと──以前とは異なる異変が、リビングのテーブルの上に起きていると気づく。
『出かけてくる』
四角いメモ用紙に、清広の直筆で文字が書かれていたのだ。
(清広さん……。私のお願いしたこと、守ってくれたんだ……)
それを目にしたつぐみはじんわりと瞳に涙を浮かべながら、そのメモの隣に放置されたペンを手に取り──余白に今日の日付を書き込んだ。
(次はいつ、帰ってくるんだろう……)
半年後であれば、十二月頃だろうか。