口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
だが、いつまで経っても夫は不安そうにリビングの床に寝転がったつぐみを見下したまま微動だにせず、姿が消えることはなかった。
「あまり目を擦るな。腫れ上がるぞ」
「っ……!」
手首を力強く掴まれたつぐみは、清広が実体を持っていることに気づき、驚きの声を上げる。
(幻覚は実態を持たないから、触れ合えないはずなのに……)
手首を掴まれた指から感じるぬくもりは、本物だ。
「清広さん……!」
つぐみは寝てばかりもいられないと上半身を起こし、スマートフォンのタイマーを瞬時に解除すると、彼に飛びついた。
(三か月ぶりだ……)
一気に疲れが吹き飛んだつぐみは、清広のぬくもりと独特の匂いを堪能してから、ふと我に返る。
(そうだ。仕事……!)
こんなことをしている場合ではないと慌てた彼女は、気を取り直して仕事に取り掛かろうとハサミへ手を伸ばす。
「待て」
だが──明らかに顔色が悪い妻の姿を、清広が放っておくはずもない。
彼女を止めた彼は、テーブルの惨事を目にしてすぐに事情を察知したようだ。
呆れたように、言葉を紡ぐ。
「あまり目を擦るな。腫れ上がるぞ」
「っ……!」
手首を力強く掴まれたつぐみは、清広が実体を持っていることに気づき、驚きの声を上げる。
(幻覚は実態を持たないから、触れ合えないはずなのに……)
手首を掴まれた指から感じるぬくもりは、本物だ。
「清広さん……!」
つぐみは寝てばかりもいられないと上半身を起こし、スマートフォンのタイマーを瞬時に解除すると、彼に飛びついた。
(三か月ぶりだ……)
一気に疲れが吹き飛んだつぐみは、清広のぬくもりと独特の匂いを堪能してから、ふと我に返る。
(そうだ。仕事……!)
こんなことをしている場合ではないと慌てた彼女は、気を取り直して仕事に取り掛かろうとハサミへ手を伸ばす。
「待て」
だが──明らかに顔色が悪い妻の姿を、清広が放っておくはずもない。
彼女を止めた彼は、テーブルの惨事を目にしてすぐに事情を察知したようだ。
呆れたように、言葉を紡ぐ。