口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
 溶けたバターの上に、アイスクリームとはちみつがかかったおいしそうなスイーツは、彼女の疲れを吹き飛ばすのに充分だった。

「いつもすみません」
「気にしないでくれ。俺が食べたいものを作っているだけだ」
「いただきます……!」

 ナイフとフォークを手に、一切れ取り分けて口に含む。

 ほっぺたがとろけてしまいそうなほどの幸福感に包まれたつぐみは、口元を緩めて舌鼓を打つ。

「すごく、おいしいです……!」
「気に入ってもらえてよかった」
「家庭で作ったとは、思えません!」
「焼いて乗せただけだぞ。料理が下手でも、誰だっておいしく作れる」
「そんなことありません! 清広さんは、魔法が使えるんですね……!」

 最初は謙遜していた清広も、妻に褒められると悪い気はしないのだろう。

 口元を緩めると、作業を終えたペーパーフラワーやメダルが汚れないように隅へ退けてから、彼女の隣で食事を始めた。

(清広さんがいる生活なんて、久しぶりだ……)

 ハニートーストを食べて幸せな気持ちに包まれたつぐみは、彼の顔色を覗いながら夫に提案する。
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