口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
「帰りは、迎えに行く」
「はい。待っています……」

 清広は何か言いたげに、妻へ視線を向けた。
 恐らく、送別会の時間が迫っているからだろう。
 離してほしそうに目線で訴えかける彼に、つぐみは夫の胸元に顔を埋めた。

「もう少しだけ……。私に、頑張る勇気をください……」
「抱きしめ合うだけで、いいのか?」

 清広の言葉を受けたつぐみがはっとした様子で、顔を上げた時のことだ。
 口元を綻ばせた夫が、それでは満足できないと言うように彼女の唇を塞いだのは。
 触れるだけの口付けはやがて、互いを狂おしく求め合う激しいキスへと変化する。

「ん……っ。清、広、さ……っ」
「続きは、帰ってからにしよう」
「は、はい……」

 大好きな清広からご褒美を受け取ったつぐみは、夫とともに出かける準備を始めた。
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