口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
 再び目黒に話しかけられたつぐみは、炭酸ジュースの缶を両手で握りしめて首を傾げた。

 その瞳は小刻みに瞬きを繰り返し、今にも眠ってしまいそうなほど細められている。
 アルコールを大量摂取したせいか、呂律が回っていなかった。

「わらしに、とっても優しくしてくりゃます……」
「──ちょっと。安堂先生? 酔ってるじゃない! 誰よ。飲ませたのは……」

 すっかり出来上がっているつぐみは目黒の言葉など気にならない様子で幸せそうに頬を緩め、清広の好きなところを語る。

「持ち帰り仕事も手伝ってくれるし……。無理やりわらしを、外へ連れ出そうともしません……。清広しゃんは、最高の旦那様れす……」

 夫の自慢をして満足したつぐみはアルコールにやられたせいで、意識を保っていられず──ゆっくりと瞳を閉じる。

「うぅ……眠いれす……」
「あらまぁ、大変。お迎えを呼ばないと……」

 うつら、うつら。

 船を漕いでいたつぐみは、二本目の缶を抱えたまま机の上に突っ伏す。

 そんな姿を目にした目黒は、つぐみの鞄からスマートフォンを手に取ると──清広へ電話をかけた。
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