口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
7・愛する妻は、今日も俺を誘う(清広)
「新婚生活はどうだ?」
「順調です」
目黒海将の送別会に呼ばれた清広は、居酒屋のカウンターで彼と横並びになり、生ビール片手に談笑していた。
「妻の話を聞く限りでは、清広が海港している間。らしくもないミスもするし、ぼんやりしていて、散々だったらしいぞ?」
「そうですか」
「最近は夫に会えない寂しさを埋めるように、仕事を全力で頑張っているそうだ!」
清広が素晴らしい女性と結婚したと上機嫌な目黒は、豪快な笑みを浮かべる。
そんな彼の姿を目にして清広は、こうして頻繁に彼と会えなくなるのかと思えば、なんとも言えない気持ちになった。
「俺達がいない間、妻がどのような生活をしているかは、面と向かって話し合わなければわからん。対話は欠かすなよ」
「はい」
「ところで……」
ジョッキの生ビールを一杯空にし終えた目黒は、声を顰めて清広へ念を押す。
「幸せいっぱいなところ大変申し訳ないのだが、そろそろ将来について考えなくてはならん。この意味がわかるな?」
誰が聞いているかわからない場所で、仕事の話をするわけがない。
そう油断していた清広は、ピンと背筋を伸ばし、緊張の面持ちで小さく頷く。