口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
(あの時も、ちゃんとこうやって叱りつければよかった……)

 どうやら愛する妻に怒鳴りつけられたのが、相当堪えたようだ。
 つぐみはもっと早くにこうすればよかったと後悔しながら、頬に付着した涙を拭うと、彼に堂々と宣言した。

「私は、清広さんの妻です」
「つぐみの夫は、生涯俺だけだ」
「結論、出ているじゃないですか。もう二度と、離婚するなんて言わないでください」

 つぐみの言葉を受けた清広がはっきりと宣言すれば、話はこれで終わりだとばかりに彼女は口元を綻ばせた。

「ああ。不安にさせて、申し訳ない……」

 清広は謝罪の意味を込めたのだろう。
 彼女の少しだけ開いた唇に、勢いよく噛みついた。

 鼻呼吸すらままならないほど激しい口づけの応酬に、つぐみは瞳を細めてどうにか耐え忍ぶ。
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