口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
 ──六月下旬。

「気をつけて」
「ああ。つぐみとの愛があれば、どんな困難にも耐えられる」

 つぐみと今後も夫婦生活を続けていくと誓い合った清広は、愛する妻を抱きしめて別れを惜しむと、幹部候補生学校へ入校した。

 これから陸の上で彼は、厳しい訓練に身を投じることになるらしい。

(清広さん、大丈夫かな……?)

 つぐみは不安でいっぱいになりながらも、夫のことを考えながら日々を過ごす。

(清広さんが帰ってくるのは、お盆休みとお正月だって言ってた……)

 その時期はつぐみも日々の疲れを癒やすために、のんびりだらだらと過ごしている頃だ。

(早くお盆休みに、ならないかな)

 暑い夏に思いを馳せたつぐみは、笑顔で園児を出迎えた。
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