口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
(どちらを、信じればいいの……?)
職場でつぐみに意地悪ばかりしてくる同僚か、メッセージで呼びかけている上司か。
(……両方、用意しておけばいいかな……)
言われた通りにどうして行動しなかったのかと、会場で同僚から難癖をつけられるのは面倒だ。
つぐみは遠くからであれば白に見えるホワイトベージュのドレスを身に纏う。
何があってもすぐ会場で着替えられるように、黒のドレスを入れた紙袋を手に家を出たのだが──。
「金沢さん。どう言うつもり?」
そろりと会場を覗き込んだつぐみは、苛立った様子の同僚に呼び止められた。
(やっぱり、来なければよかった……)
会場内で披露宴の開始を待つ女性達は、全員黒系のドレスを身に纏っている。
やはり目黒から送信されてきたメッセージアプリのやり取りが、正しかったのだと、確信した瞬間だった。
「申し訳ございません……。ドレスコードを、聞き間違えてしまって……」
「白のドレスを着るなんて、非常識も程があるわ!」
「黒のドレスに、着替えて……」
「花嫁に恥をかかせる気なの!?」
「いえ、ですから……」
「言い訳なんて、聞きたくないわ!」
ヒートアップしている鈴木は、つぐみを非常識な人間だと思い込んでいるせいだろう。彼女の主張に耳を貸すことなく、怒鳴り散らす。
職場でつぐみに意地悪ばかりしてくる同僚か、メッセージで呼びかけている上司か。
(……両方、用意しておけばいいかな……)
言われた通りにどうして行動しなかったのかと、会場で同僚から難癖をつけられるのは面倒だ。
つぐみは遠くからであれば白に見えるホワイトベージュのドレスを身に纏う。
何があってもすぐ会場で着替えられるように、黒のドレスを入れた紙袋を手に家を出たのだが──。
「金沢さん。どう言うつもり?」
そろりと会場を覗き込んだつぐみは、苛立った様子の同僚に呼び止められた。
(やっぱり、来なければよかった……)
会場内で披露宴の開始を待つ女性達は、全員黒系のドレスを身に纏っている。
やはり目黒から送信されてきたメッセージアプリのやり取りが、正しかったのだと、確信した瞬間だった。
「申し訳ございません……。ドレスコードを、聞き間違えてしまって……」
「白のドレスを着るなんて、非常識も程があるわ!」
「黒のドレスに、着替えて……」
「花嫁に恥をかかせる気なの!?」
「いえ、ですから……」
「言い訳なんて、聞きたくないわ!」
ヒートアップしている鈴木は、つぐみを非常識な人間だと思い込んでいるせいだろう。彼女の主張に耳を貸すことなく、怒鳴り散らす。