口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
「もう、いいのですか」
「ああ。この香りが俺の匂いだと、つぐみに知ってほしいからな……」
いい香りとは言えない体臭を覚えてほしいと懇願されるなど思わず、つぐみは目を見張った。
(そうだ。清広さんは、こう言う人だった……)
何を考えているかわからない無表情が通常運転の彼は、時折つぐみが想像もつかないことを口走るのだ。
「極力臭いを抑えてほしいと願うなら、努力するが……」
「私には、関係のないことですから」
「つぐみ……」
彼の目を見れば、考えていることは手にとるようにわかった。
(まだ、そんなことを言っているのかって顔……)
つぐみがどれほど清広との交際を嫌がった所で、彼は絶対に彼女を諦めはしないだろう。
(根負けなんて、するつもりはない……)
清広はつぐみを傷つけたことを一生後悔して、一人で生き続ければいいのだ。
(今までも、これからも……)
昨日の言い争いをまだ根に持っている彼女は、何があっても絶対に絆されることはないと固く胸に誓った。
「ああ。この香りが俺の匂いだと、つぐみに知ってほしいからな……」
いい香りとは言えない体臭を覚えてほしいと懇願されるなど思わず、つぐみは目を見張った。
(そうだ。清広さんは、こう言う人だった……)
何を考えているかわからない無表情が通常運転の彼は、時折つぐみが想像もつかないことを口走るのだ。
「極力臭いを抑えてほしいと願うなら、努力するが……」
「私には、関係のないことですから」
「つぐみ……」
彼の目を見れば、考えていることは手にとるようにわかった。
(まだ、そんなことを言っているのかって顔……)
つぐみがどれほど清広との交際を嫌がった所で、彼は絶対に彼女を諦めはしないだろう。
(根負けなんて、するつもりはない……)
清広はつぐみを傷つけたことを一生後悔して、一人で生き続ければいいのだ。
(今までも、これからも……)
昨日の言い争いをまだ根に持っている彼女は、何があっても絶対に絆されることはないと固く胸に誓った。