口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
(謝らなきゃいけないのは、私の方なのに……)
つぐみの心の中では、さまざまな感情が荒れ狂っていた。
怒り、悲しみ、困惑。そして、驚き。
「もう二度と、縁起の悪い話を口にしないでください」
「ああ……」
「最悪の状況なんて、考えたくもありません」
命さえ繋がっていれば、破局しても再び巡り会える。
今のつぐみと清広のように。
だが、命が失われてしまえば、元も子もない。
もう二度と彼に愛を囁いてもらうこともできなければ、こうして触れ合うことすら叶わないのだ。
(心を許した瞬間、私の元からいなくなってしまったら……)
つぐみは今度こそ、立ち直れないだろう。
(……悪い方向に考えるから、苦しくなるんだ)
もしもの可能性に怯えた彼女は、唇を噛み締め必死に心を落ち着かせる。
清広に弱いところを見せたくない彼女は──冷静なふりをすると、話題を変えるために言葉を紡いだ。
「清広さんとともに暮らす上でのデメリットよりも、メリットの話をしませんか」
「ふむ……。何不自由なく暮らせるだけの、蓄えはあるからな。全財産はつぐみに預ける。好きなように使ってくれ」
金銭的な余裕が清広にあることは、高級ブティックに連行された時からわかっていた。
つぐみの心の中では、さまざまな感情が荒れ狂っていた。
怒り、悲しみ、困惑。そして、驚き。
「もう二度と、縁起の悪い話を口にしないでください」
「ああ……」
「最悪の状況なんて、考えたくもありません」
命さえ繋がっていれば、破局しても再び巡り会える。
今のつぐみと清広のように。
だが、命が失われてしまえば、元も子もない。
もう二度と彼に愛を囁いてもらうこともできなければ、こうして触れ合うことすら叶わないのだ。
(心を許した瞬間、私の元からいなくなってしまったら……)
つぐみは今度こそ、立ち直れないだろう。
(……悪い方向に考えるから、苦しくなるんだ)
もしもの可能性に怯えた彼女は、唇を噛み締め必死に心を落ち着かせる。
清広に弱いところを見せたくない彼女は──冷静なふりをすると、話題を変えるために言葉を紡いだ。
「清広さんとともに暮らす上でのデメリットよりも、メリットの話をしませんか」
「ふむ……。何不自由なく暮らせるだけの、蓄えはあるからな。全財産はつぐみに預ける。好きなように使ってくれ」
金銭的な余裕が清広にあることは、高級ブティックに連行された時からわかっていた。