口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
(嘘だと思われたら、どうしよう……)
この保育園で働く保育士達の中で、つぐみは一番の新入りだ。
経験も浅く、立場も弱い。
目黒は比較的彼女に優しく接しているが、それがいつまで続くかは不明瞭だ。
つぐみは不安な気持ちでいっぱいになりながら、気まずい沈黙を連絡帳に文字を書き込むことでどうにかやり過ごす。
「そうだったのね。打ち明けてくれてありがとう。安堂海曹長と金沢先生は、お似合いだと思うわ」
──目黒が優しく微笑みながら沈黙を破ったのは、それから数分後のことだった。
上司はつぐみが想像もしていなかった言葉を受けて目を丸くしている間に、心配そうな視線を彼女に向けた。
「でも……大丈夫なの? 海上自衛官は、一度仕事に出たら一切連絡が取れないのよ。苦しくてつらい時だって、弱音を言える存在がいない」
目黒が話しかけてきた本当の理由を知ったつぐみは、真面目に聞いている自分が馬鹿らしくなって連絡帳に向き直る。
上司は恐れているのだ。
文句の一つも言わずに黙々と仕事に明け暮れ、率先して雑用をこなす彼女の作業効率が落ちれば、万年人手不足に喘いでいるこの保育園は回らない。
この保育園で働く保育士達の中で、つぐみは一番の新入りだ。
経験も浅く、立場も弱い。
目黒は比較的彼女に優しく接しているが、それがいつまで続くかは不明瞭だ。
つぐみは不安な気持ちでいっぱいになりながら、気まずい沈黙を連絡帳に文字を書き込むことでどうにかやり過ごす。
「そうだったのね。打ち明けてくれてありがとう。安堂海曹長と金沢先生は、お似合いだと思うわ」
──目黒が優しく微笑みながら沈黙を破ったのは、それから数分後のことだった。
上司はつぐみが想像もしていなかった言葉を受けて目を丸くしている間に、心配そうな視線を彼女に向けた。
「でも……大丈夫なの? 海上自衛官は、一度仕事に出たら一切連絡が取れないのよ。苦しくてつらい時だって、弱音を言える存在がいない」
目黒が話しかけてきた本当の理由を知ったつぐみは、真面目に聞いている自分が馬鹿らしくなって連絡帳に向き直る。
上司は恐れているのだ。
文句の一つも言わずに黙々と仕事に明け暮れ、率先して雑用をこなす彼女の作業効率が落ちれば、万年人手不足に喘いでいるこの保育園は回らない。