口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
「あ、あの。歩き、づらいです……」
「いくら徒歩十分程度の距離とはいえども、夜道は危険だ。俺が自宅にいる時は、迎えに行く」
「私はシフト通りに帰宅できないことも、多くて……」
「俺が一緒にいる時くらいは、つぐみを守らせてくれ」
「清広さん……?」
「つらい時や苦しい時は、声に出して助けを求めろ。そうしないと、俺はつぐみに手を差し伸べられない」

 清広は職場でのつぐみの扱いに、心を痛めているようだ。

「頼む。もう二度と、つぐみを失いたくないんだ……」

 彼の懇願を受けた彼女は、清広の好意を毅然とした態度で突っぱねることができず──。
 小さく頷くことで、了承した。
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